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エリザベス 2世の肖像 パート III

エリザベス2世の肖像をあしらった紙幣の収集はその経験を問わず、いかなる収集家にとっても大いにやりがいのあるものであると言える。『女王の紙幣』収集には様々な面があり、数多くの収集家たちがざっくばらんに、だが親しみを込めてこの収集分野について。語っている 29の国と地域、紙幣発行期間中に名称が変わった場合を含めると33の国と地域で女王の肖像をあしらった紙幣が発行されており、発行を念頭に見本、プルーフ紙幣、モックアップを作成したものの発行には至らなかった場合を含めると現在35の国と地域に及んでいる。女王の肖像は、王女時代の肖像から現在の女王としての肖像まで、その治世にわたって何度も変化している。現在でも15ヶ国において何らかの形で女王の画像をあしらった紙幣の発行・流通が行われている。現在の貨幣収集の世界において、このテーマより大規模で、多様性に優れ、またほぼ間違いなく美しいものはないであろうし、今後もこのようなテーマが現れることはないであろう。ラッセル・ウォラー
肖像10

元の肖像の作成: 1960年頃

作者: ロバート・オースティン

 

これはイングランド銀行発行の紙幣で最初に使用された国王の肖像である。この肖像の作者はロバート・オースティンで、イングランド銀行発行「C」シリーズの紙幣のうち10シリング紙幣と1ポンド紙幣のデザインに使用された。オースティンは1956年5月1日にバッキンガム宮殿で行われた写真撮影で撮影された女王の写真を入手し、肖像作成を開始した。使用した写真はドロシー・ワイルディングのシニアアシスタントによるものである。ただし、オースティンは、この写真撮影で撮影された写真のうち特定の1枚からこの肖像を作成したのではなく、複数の写真を総合して作成している。これらの紙幣で使用されている肖像の女王はジョージ4世・ステート・ダイアデム、ビクトリア女王のコレット・ネックレス、メアリ王妃のフローレット・イヤリングとドーセット・ボーブローチを身に着けている。1901年に死去したビクトリア女王が遺したこのネックレスにはガーターバッジと儀式用の剣で使われていたダイアモンドがあしらわれている。ドーセット・ボーブローチはカリントン&カンパニー製作で、1893年にメアリ王妃が結婚した際にドーセット州から結婚祝いとして贈られたものである。メアリ女王は1947年このブローチを結婚祝いとしてエリザベス王女に贈っている。オースティンによる肖像の彫刻は、ブラッドベリー・ウィルキンソン&カンパニーのR・ゴッドビヒアによるものである。これらの紙幣が発行された当時は、この肖像に関し幅広く批判があった。

 

この肖像の使用: イングランド銀行 -- No. 373および374

肖像11

元の肖像の作成: 1963年頃

作者: レイノルズ・ストーン

 

ロバート・オースティンによる女王の肖像(肖像10)の評価が低かったことを受け、イングランド銀行では、「C」シリーズのより高額な紙幣に向け、新しく女王の肖像を準備することとした。この肖像はレイノルズ・ストーンによるもので、「C」シリーズの紙幣のうち5ポンド紙幣と10ポンド紙幣のデザインに使用された。この肖像の彫刻は、ブラッドベリー・ウィルキンソン&カンパニーのアラン・ダウによるものである。オースティンによるこの肖像の女王は、ジョージ4世・ステート・ダイアデムとパールの三連ネックレスを身に着けている。女王はこのパールのネックレスを非公式な場やセミフォーマルな場で好んで身に着けている。このネックレスは、1935年5月6日のジョージ5世在位25周年記念にあたり、国王からエリザベスに贈られたものである。

 

この肖像の使用: イングランド銀行 -- No. 375および376

肖像12

元の肖像の作成: 1964年頃

撮影者: ダグラス・グラス

 

ガーター騎士団のローブとレガリアを身に着けている女王を描写したこの肖像は、ロンドンのダグラス・グラスによる写真を基にしている。この写真は、1966年に発行された1ドル紙幣に使用する彫刻を準備するための肖像として豪州準備銀行から特に委託されたものであった。この1ドル紙幣のデザインはゴードン・アンドリュース氏が行った。女王はビクトリア女王のゴールデンジュビリー・ネックレスを身に着けている。ガーター騎士団のローブの下にネックレスを身に着けた女王を描写した、数好きない肖像のうちの1つである。女王はまた、アレクサンドラ王妃のクラスター・イヤリングを身に着けている。このイヤリングは宝石商ガラードが製作したもので、後の国王エドワード7世が結婚時に花嫁であるデンマーク王女アレクサンドラに贈ったものである。

 

この肖像の使用: オーストラリア -- No. 37および42

肖像13

元の肖像の撮影: 1960年10月

撮影者: アンソニー・バックリー

 

この女王の肖像はインド・パキスタン訪問を前に撮影された写真から作られたものであり、より広く用いられている女王の肖像のうちの1つである。女王はアレクサンドラ王妃のココシュニック・ティアラとメアリ王妃のフローレット・イヤリングを身に着けている。ロシアン・フリンジ・ティアラとも呼ばれることもある、このココシュニック・ティアラは、ロシアの農民の娘が頭につけるヘッドドレスのスタイルを踏襲している。ココシュニック・ティアラのデザインはアレクサンドラ王妃の妹であるロシア皇后が所有していたティアラが基になっている。フローレット・イヤリングはメアリ王妃の結婚時の贈り物であり、ダイヤモンドとプラチナで作られている。

 

この肖像の使用: イギリス -- オーバーン銀行

肖像14a

元の肖像の撮影: 1985年

撮影者: パトリック・リチャードソン

 

この肖像は、1985年に撮影された写真を基にして作られたものです。女王はクイーン・メアリーから受け継いだダイヤモンドのデイモンド・フラワー・ティアラを身に着けています。このティアラは、女王の愛する宝飾品のひとつであり、多くの公式の場で使用されています。

 

この肖像の使用: イギリス -- No. 44

肖像14b

元の肖像の撮影: 1985年

撮影者: パトリック・リチャードソン

 

この肖像は、1985年に撮影された写真を基にして作られたものです。女王はダイヤモンドとパールのイヤリングを身に着けています。これらのイヤリングは女王の母であるクイーン・エリザベス皇太后からの贈り物であり、女王の愛用品のひとつです。

 

この肖像の使用: イギリス -- No. 44

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